本当に、そう思ったんだよ。
ミナトが一緒なら。
わたしとミナトなら、大丈夫だって。
遠い土地へ行ってもいい。
言葉の通じない国に行っても大丈夫だって、思ったんだよ。
そこに愛さえあればなんだって出来るって今だって思っているよ。
キラキラ光る水面が段々とぼやけていく。
美しい光景が水彩絵の具のように滲んでいく。
「さくら寒くない?」
「大丈夫だよ」
大丈夫だと言っているのに、コートを半分脱いでわたしの肩を引き寄せて、脱いだ半分をわたしの肩に掛けるミナトの心の温かさにより一層世界が滲む。
「さくら、好きだよ」
そっとおでこに落とされたキス。
それがどこかぎこちなく震えていたのはきっと寒さのせいではなかっただろう。



