「それにしても懐かしいね、生徒手帳」

「あー、うん。そうだね」

「陸さんに話したの?」



わたし達の出会いのキッカケの生徒手帳。

どうして陸さんがその事を知っているのだろう?とミナトを見上げれば、何故か気まずそうに視線を逸らすミナトがいて。



「実は、生徒手帳拾った事を陸に話して届けに行けって言われたんだ」

「そうなの?」

「交番にとか俺は思ってたんだけど、アイツ学校名見て女子高だからって」

「⋯うん?」

「アイツチャラチャラしてるだろ?だからそれで一緒に届けに行く魂胆だったらしい。まあその日旬は居残りさせられて俺だけが届けに行く事になったんだけど」

「そんな事があったんだ」

「⋯今となってはあの時陸の言う通り直接さくらに返しに行って正解だったね」

「わたし達のキューピットは陸さんかもね?」

「陸が?キャラじゃないよ」



ないない、と笑うミナトは何だか楽しそうで、今まで友達といるミナトを見たことがなかったから新鮮な気持ちになる。

新たな一面を見れた事が嬉しい。



こんな時も一つずつ募っていく想いはきっとキリがない。