といってもやはり、八年という時間は果てしなく長いように思う。


凛也さんと別れた後、家に帰ったわたしの頭の中はどうすればいいのかという悩みだらけで。

人生に岐路があるとするならば、間違いなく今がそうだろう。



八年、八年我慢すれば、ミナトと共に居られる未来が待っているかもしれない。

だけどこの八年間はあまりにも貴重だ。

わたしの都合でミナトに八年間の我慢を強いる事が正しいだろうか?

ミナトに八年間待っていてと言うことが出来るだろうか?



きっとミナトとなら待っていると言ってくれるだろう。

だけどそれが本当にミナトの為になるのか⋯。

ただ待っているだけの八年間をミナトに過ごさせてしまうのは間違っているのではないか⋯。


考えても考えても答えの出ない悩みは何が正しいのかすらわからなくて。


だけどただ一つわかるのは、八年間待っていてと言ってしまえばきっとミナトは幸せではなくなってしまうということ。


だって、きっと今だってミナトとは色々な悩みや葛藤を抱えているはずで。

それはわたしなんかより遥かに苦しくて辛いものだと思うんだ。




婚約者のいるわたし。

この先も凛也さんと会ったりしなければならないだろう。

つまり、今より希望は見えるかもしれないけれどほとんど今と変わらない毎日を過ごしていかなければならないわけで。

それが八年間続いた時、ミナトの心は大きくすり減ってしまっているかもしれない。