「八年で必ず俺は実績を作り、予定通りいけば社長になる。社長になれば今よりもっと意見を通す事が出来るし、⋯実のところ俺の父は早く引退をしたがっている。だから八年後実質実権を握っているのは俺だ」

「はい⋯」

「つまり、その時に婚約を解消すればいい」

「っ」

「理由なんて適当でいい。互いの間に信頼関係と利益が生まれれば誰もそんな事気にしない。ただ互いに不都合な理由でなければ⋯互いの将来の為とか適当で大丈夫だ」

「本当に大丈夫なんですか⋯?」

「この結婚話自体に意味があるわけではないかはな。ただの付属に過ぎない。幸いなのはまだ俺たちの婚約が世間に発表されていない事だ」

「⋯確かにそれはそうですね」

「このまま婚約は発表せず、一之瀬と華山が手を組む事だけを発表すればいい。他社への牽制の強さには欠けるが問題という問題でもないだろう」



凛也さんの話はどこか夢物語で、そんな上手くいくのだろうか?と疑問ながらも凛也さんなら必ず有言実行してくれるのではないかという絶対的な確信もある。

凛也さんの事を全て知っているわけではないし、むしろわたしの知らない部分の方が多いだろう。

心を通わせ合っているわけでもない。

だけど、それでも、彼は出来ない事は口にしないと断言出来るくらいには彼を信頼しているのも確かで。