「俺が社長になるまでの八年間で必ず実績を作ってみせるし、華山との連携を主に任されているのはさくらの夫となるはずの俺だ。だから必ず、華山との信頼関係を築いてみせる」
「⋯出来るんですか?」
「何の為に幼い頃から窮屈な生活をしていると思う?会社の為になる事が何なのか、どうすれば信頼してもらえるのか、利益を生み出せるのか、それくらいわかってる」
「⋯っ」
「ただそれは今すぐに出来る事ではない。それはわかるな?」
まるで子どもに話しかける様に柔らかい口調になった凛也さんに小さく頷く。
「八年後まで結婚は先延ばしだ」
「先延ばし⋯」
「本当は今年の春に正式な結婚の契約を交わすはずだったが⋯俺が本格的に家の仕事に就く事を理由に先延ばしにすればいい」
「そんな事可能なんですか?」
「暫くは仕事に集中したいのも事実だしそこは俺が父に話を通しておく。別に婚約を解消するわけではないし華山の方も納得してくれるだろう」
確かに会社の規模的には一之瀬の方が上だ。
一之瀬の方から先延ばしを提案されたらそう簡単には断れないだろう。
「でも、その後は⋯?結局わたし達は八年後に結婚をしなければならないんではないですか?」
先延ばしにしたところで、何かが変わると言うのだろか?
疑問をぶつけるわたしに対して凛也さんは呆れた様に「だから言っているだろう」と僅かに眉を寄せた。



