サクラアメ 【完】







凛也さんが指定したのは家の最寄り駅。

とても近いという距離ではないけれど歩いて行けない距離でもない。

しかし全身を突き刺す風は真冬そのもので、もう少し防寒をしてくればよかったと後悔しながら駅までの道を急いだ。





駅に着きロータリーへと向かうと一台、一際目立つ車を発見する。

どこからどうみても高級車のそれは間違いなく一之瀬家のもので、凛也さんが迎えに来る時に乗ってくる車だった。


バックミラー越しにわたしの姿を捉えたのだろう、わたしが車の近くまで行けば運転席を降りた運転手が一例をした後後部座席のドアを開けてくれた。