「もしもし⋯」
『今から出てこれるか?』
開口早々そんな事を言ってくる凛也さんの声からは正に急いでますって感じがして何かあったのかと問えば『○○駅前ロータリーで待っている』とだけ伝えられてプツリと通話が終了する。
「一体何なの⋯?」
ハッキリ言って今は昨日お父さんに言われた事で頭がいっぱいで他のことは考えたくないし考えられる状況ではない。
だけど何故だか凛也さんの様子がいつもと違う気がして気にかかり、わたしはすぐにコートを羽織って家を出た。
二人で出掛ける時は必ず家の前に車を停めて迎えに来てくれる凛也さんがわざわざ家ではない場所をしていした。
たまたま家まで来るのが面倒だったって事もあるかもしれないけれどわたしにはどうも引っかかる。
家に来れない理由があるんじゃないかって。
だからわたしは少し外の空気を吸いに散歩に行ってくるとだけ告げて家を後にした。
幸いお父さんもお母さんも仕事で家を空けていたから。
二月の夕方の外は決して明るいとは言えず、お手伝いさん達は家を出ようとするわたしを止めようとしたけれどわたしがあまりにも急いでいたからか無理に引き止める事はしなかった。



