動かそうとしていた足をピタリと止める。
「ミナトの将来が、何?」
「⋯彼は何も言っていないのか?」
「どういう事?」
「何も知らないからお前はのうのうと彼と付き合っていられたのか」
お父さんが一体何の話をしているのか見当もつかない。
それに、その言い方はまるでわざとわたしを怒らせようとしているみたいで今度はわたしが声を荒らげる番だった。
「ねぇお父さん、答えてよ!ミナトにっ、ミナトに何かしたの?何か言ったの!?」
「⋯」
「ねぇっ!」
掴みかかる勢いでお父さんのいるデスクへと詰め寄ったわたしはバンッと音がなる程、強くデスクを両手で叩いた。
悪い予感しかしない。
今はお父さんが何かを企んでいる様にしか、意地汚い大人にしか見えない。
興奮するわたしとは対照的に落ち着き払った声で残酷な事を口にするお父さんは本当にわたしの父親なのだろうかと疑いたくなるくらいだった。
これがいつの日か大切だと言った娘に対する仕打ちかと、絶望した。



