「今こいつ勿体ないとか思ったでしょ?」
さくらがふざけながら顔を覗きこんだ。
「そんなことは思ってないけど」
「だって今変な顔した」
変な顔って…。
「勿体ないというか、やっぱりお嬢様なんだなって思っただけだよ」
そう言うとさくらは少しだけ顔を歪めた。
「お嬢様…か…」
「さくら…?」
変に思い、名前を呼ぶとさくらは明らかに作り笑いだと分かる笑顔を向けた。
「わたしってお嬢様っぽくないでしょ?
性格もさ、そんな清楚で可愛い感じじゃないし…」
笑っているはずなのに、笑っていない。
口元は笑っているのに、目は泣きそうだ。
「それに…お嬢様って言われるのが嫌な訳じゃないけど、お嬢様なんて窮屈なだけだよ。
自分で決められることなんてほんの少しだし、
わがままってイメージする人もいるけど、実際はわがままなんて言えない…。
…これは、わたしの家がそうなだけかもしれないけど…」
「さくら…」
どうしてそんな顔をする?
「って、変な話しちゃったね。ごめんね」
「無理して笑わなくていいよ」
「ミナト…?」
「無理に笑わなくていい」



