クリスマスイブ。



重なる心。

繋がる体。




「さくら、好きだよ。本当に、たまらなく好きだっ⋯」



抱かれている間、ミナトは何度も“好き”を伝えてくれた。

それはまるでわたしに言い聞かせている様でもあり、ミナト自身からこれ以上は溜めていられないと溢れ出した様でもあり。

何度も繰り返される愛の告白を聞く度にわたしは泣きたいくらいに幸せを感じられた。




抱えきれない程の愛しさ。


夢中で掻き抱いたミナトの頭は、わたしが乾かした時より乱れていて。それが更にお腹の奥を切なくさせる。



「ミナトっ、ミナトっ」



襲い来る快楽の中で頼れるのはミナトだけだった。

心も体も繋がるってこういう事なのだと、初めて知った。




「何で泣くの⋯」



だからミナトにそう聞かれた時わたしは「幸せで」なんてありきたりで、だけどそれ以下でもそれ以上でもない言葉を返した。

そうすればミナトも幸せそうに微笑んでくれた。




この人さえいればいい。

他は何もいらない。



心の底からそう思った。









─────────なのに。



どうしてだろう。

幸せだと思うのと同じくらい、悲しいのは。

流れた涙は幸せのせいで間違いないはずなのに、一滴涙が瞳から零れる度に、どうしようもなく怖くなる。




こんな幸せな時間がもう訪れなかったらどうしよう。

これが最初で最後だったらどうしようって。




すごく、怖かったんだ。