気付けばわたしの身体はベッドの上にあって、その上には瞳に熱を孕ませたミナトがいて。
夢中でキスを繰り返す中、さっきまでの妄想が現実になるんだって、どこか冷静な自分もいた。
「ミナトっ⋯、はぁっ」
やがて離れた唇には銀色の糸が垂れて、それが官能的にわたし達を繋いでいる。
ゆっくりと呼吸を整えるわたしの前髪をミナトの指が掬って、露になったおでこへと口づける。ちゅ、と身近なリップ音がしてドキンと鼓動が跳ねて。
「ごめん、さくら。したい」
吐息混じりの色っぽいその声に抗う事なんて出来やしなかった。
「何で謝るの⋯?わたしもミナトが好きだよ」
いくら恋人同士でも、好き合っていても、わたしには婚約者がいて、まだ何の解決もしてなくて。
抱き合っても、キスをしても、頭のどこかでそれ以上はダメだって思っていた。
だけど本当はそれを望んでいた。
ずっと、ずっと、大好きな人の一番近くにいきたいって思っていた。
心も体も繋がりたいって。
「いいよ、ミナト」
「⋯さくら、」
「ミナトなら⋯、ミナトだからいいよ」
「⋯っ」
「好きだよ」
その言葉が合図だったかの様に、わたしがそれを言い終わるのと再び唇を塞がれたのはほぼ同時だった。
キスをされている間に裾を捲って素肌に触れる指、すぐ耳元で聞こえる熱い吐息。
欲を孕んだ瞳。
どれもが初めて見るミナトの姿で、それが堪らなく愛おしかった。



