シャワーを浴び終えたミナトの髪の毛はしっとりと濡れていて、優しい色をしたブラウンがいつもより濃くなっている。
「ミナト、髪の毛乾かさないで出てきたら風邪引いちゃうよ?」
「俺いつも自然乾燥だよ」
「それダメなやつ。ていうか人には言うくせに自分はいいの?」
「じゃあさくらが乾かしてくれる?」
「え?わたし?」
「ん、さくらが」
「ちょっと待ってて」と言ったミナトは一度階段を下りて、ドライヤーを手に戻って来た。
「はい、お願い」
「本当にわたしが?」
「風邪引いたら困るし」
さっきいつも自然乾燥と言っていたくせに悪戯に笑ってそう言うミナトに、満更でもないわたしは「わかった」と頷いた。
ベッドの前に座るミナトを足の間に挟む様にして、わたしはベッドの上に座る。
慣れない体勢にドキドキしつつも、触れたミナトの髪が濡れているのに柔らかくてずっと触っていたくなる。
「ミナトの髪の毛って綺麗だよね」
「そ?」
「うん。わたしミナトの髪の毛好きだよ」
「はは、ありがと」
ドライヤーで髪を乾かすわたしに気持ちよさそうに笑うミナト。
ドキドキするのに、安心もする。
指の隙間を流れる髪の毛。
乾き始めた髪の毛をサラサラと梳かす度に愛しさが込み上げてくる。



