「俺、結構子ども好きで、教えるのも嫌いじゃないから」
「うん」
「本当それだけの理由で、忘れられない恩師がいるとかじゃないんだけど、教師になりたいって中学頃から漠然と思ってて、」
「うん」
「それで、国立の大学で行きたい教育学部があって、今も必死に勉強してるんだけど⋯って俺の将来の夢とか興味ある?」
照れくさそうにわたしの顔を覗くミナトからは、その夢が大切だとヒシヒシと伝わってくる。
それだけの理由と本人は卑下して言っていたけれど、わたしからしてみたら“それだけ”なんかではない。
立派だなと、素直に尊敬する。
「ミナトだったら絶対に良い先生になれるね。今もこうして勉強教えてくれてるし、凄く分かりやすいし」
「本当に?」
「うん。それにミナト温かいから。絶対良い先生になれるよ」
「なんかさくらに言われると自信つくな」
「愛のパワーだよ」
「何だそれ」
はは、と笑うミナトの笑顔はキラキラしていて、そのキラキラには希望がめいっぱい詰まっている。
温かくて優しくて。
場を和ませてくれる笑顔の持ち主であるミナトは絶対に良い先生になると確信出来る。
だって、ミナトが教卓に立って真剣に授業をしている光景が簡単に思い浮かぶから。
子ども達に囲まれて笑っている姿も、生徒と真面目に向き合っている姿も、思い浮かべる事が出来るから。
だからミナトは絶対に良い先生になれる。



