あっという間に冬の寒さがやってきて、もう12月になってしまった。
ミナトと出会った頃は桜が咲いていたのを思い出せば、たった数ヶ月だけれど、共に過ごしたこの時間はとても長くあっという間だったなと思う。
長くてあっという間という表現は矛盾しているかもしれないけれど、本当にそれ以外に言い様がない。
ただ言えることは、ミナトと来年も再来年も一緒にいられたらいいなという事だけ。
「ミナトは将来の夢とかある?」
休日、学期末試験も近くなり図書館で勉強をしている合間の休憩で、ふと気になった事を聞いてみたわたし。
「将来の夢?」
「うん。聞いた事ないなって思って」
「あー⋯、うん。あるよ?」
「え、教えてよ」
少し恥ずかしそうに目尻を下げるミナトは「今?」と笑いながら、その夢を教えてくれた。
「将来は教師になりたいんだ」
「先生?」
「うん。小学校の先生。ってこれ親にしか言った事ないから恥ずかしな」
「全然恥ずかしくないよ!凄い!ミナト先生だ!」
「ミナト先生って⋯、っていかうさくら、ここ図書館」
思わず大きな声を出してしまったわたしに、指を唇に当てて「シーッ」としたミナトに慌てて両手で口を抑える。
「ごめん⋯つい⋯。でもそっかぁ。ミナトの将来の夢は学校の先生かあ⋯」
教師という予想はしていなかったけれど意外かと問われればそうでもなく。
ミナトが先生をやっている姿は想像はつく。



