涙を目に溜めて俯くわたしをお父さんはどんな気持ちで見つめているのだろう。
その心は父親なのか、会社を背負う者なのか。
「もう少し大人になりなさい」
最後にそう言ってお父さんはその場を離れた。
「大人になれって⋯、なに?」
確かにわたしは子どもで、無力で、考え無しかもしれない。だけどわたしだって一人の人間だ。
人を好きだと想う気持ちに子ども大人もないでしょう?
「もう、わかんないよっ⋯」
どうすればいいのか全然わかんない。
ミナトとこの先本当に一緒にいられる日が来るのかすらわからなくなってしまいそうで凄く怖い。
悪いことばかりが頭を掠めて、どうしようどうしようって焦ってばかりで、こうして夜一人で泣く事だって増えてきて、常に心が鉛のように重い。
沈みっぱなしの心はどうしたって疲弊してしまって、全てがマイナスな方へと向いてしまう気がする。
「ミナトっ⋯、」
絶対にそんな事しないけれど、ミナトの手を離した時わたしはちゃんと歩いていけるだろうか。
ちゃんと、前を向けるだろうか─────。



