「だけど、さくらへの気持ちが揺らぐ事はなかったよ」

「⋯っ」

「朧げなものが現実になって、反対されて⋯だけど俺はさくらと一緒にいたいって思った」

「ミナト、」

「どうしようもなく子どもで、何が出来るなんてわかんないけど、それでも、さくらが俺の手を取ってくれるなら俺は絶対にさくらの事を離したくない」



真剣に想いを伝えてくれるミナトに視界が歪んでいく。

好きだから。ただそれだけの想いだ。

地位も名誉も名声もお金も、何も関係ない。

単純で純潔な、真っ白な想い。



愛があれば──────。



それさえあれば、わたし達を引き裂くなんて誰も出来ない。そう、信じていたい。



「わたしだってそうだよっ⋯」

「⋯さくら」

「わたしだってミナトがいれば⋯それでいい。ミナトが好きだから一緒にいたい」

「うん」

「絶対、離れたくないよっ」



ポタリと零れ落ちた雫が頬を伝う。

そして封を切ったように次々と頬を流れていく涙にミナトの指が添えられた。


壊れ物を扱うように頬を撫でるその指先はとても優しくて繊細で。

それだけでミナトの優しさと愛情がつたわってくるようだった。