花火大会から二日後、ミナトと会う約束をした。
場所は、最初にわたし達が来た喫茶店。
ミナトの目の前にはアイスコーヒーが、わたしの目の前にはオレンジジュースが置いてある。
店内はクーラーが効いていて涼しいけれど、それ以上にグラスに付いた水滴が清涼感を生み出していた。
「この間は⋯ごめんね」
「俺の方こそちょっとムキになってたかも⋯ごめん」
そして向かい合って座るわたし達は、どこか気まずい空気を醸し出していると思う。
あの日以来、メッセージアプリでのやり取りはしていたけれど電話はしていなかったから、会話さえぎこちない気がして。
たった二日、されど二日。
お父さんが酷い事を言っていたし、この間の事でミナトの中でもわたしの婚約というものがより不安度を増して大きくなったであろう。
「嫌な思い⋯させちゃったよね」
「まあ⋯良い思いはしなかったけど」
「ごめん⋯」
これでミナトに嫌われてしまったら。
ミナトが離れてしまったら。
そう考えたら怖くて怖くて、膝の上で強く手のひらを握りしめた。



