その後、お互いどこかよそよそしくなりながらもほんの数分前までとはグッと二人の距離が縮まった気がした。
その証拠に、繋いだ手はしっかりと指が絡んでいて。
「もう遅いし、送っていくよ」
「⋯いいの?」
「うん、送らせて」
まだまだバイバイをしたくないわたしは、ミナトの優しさに甘える事にした。
お祭りの後の電車は凄く混みあっていて、駅に着いてから二本の電車を見送った。
やっと電車に乗れても車内は人、人、人。
よくテレビで見る朝の通勤ラッシュの様にすしずめ状態の中、わたしが人に押し潰されずに済んだのはミナトがさりげなく壁になって押し寄せる人からわたしを守ってくれていたからだろう。
「ミナト、ありがとう」
「何が?」
「守ってくれて」
なるべく身を縮こませながらそう伝えるとミナトはなんて事ない様に微笑んだ。
そういうさり気ない優しさだったり、自分のことに限り優しさを優しさだと思っていないところが更に好きを加速させる。



