「俺、本当にさくらの事が好きだよ」
「っ」
「今はちょっとビックリして⋯だからそんな顔しないで」
「ミナト⋯」
「ねぇ、」
ミナトの瞳に映るわたしは不安そうな顔をしていて。そんなわたしを安心させる様に髪を撫でるミナトの手はとても優しくて。
「もう一回していい?」
ああ、嫌なわけじゃなかったんだ。と、その言葉に小さく頷いたわたしは、人生で二回目のキスをした。
花火の余韻に浸りながら、
夏の夜風を浴びながら、
この先ミナトとキスをする度に何回目と数えていくのだろうと思った。
そしていつか数え切れなくなる日が来て欲しいと願った。
「⋯⋯なんか、緊張するね」
「うん、緊張する」
「ミナトも緊張したの?」
「え、するよ普通に。好きなんだから」
ゆっくりと唇を離した後、おでこを寄せ合い笑った二人。
ちょっぴり冷たくて、ちょっぴり甘いこのキスをわたしはきっと、忘れたりしないだろう。



