サクラアメ 【完】






遠くで花火の音がする。

だけどそれを掻き消すくらい自分の心臓がドクドクと鳴っている。




「──────っ」



さっきかき氷を食べたからかミナトの唇はほんのり冷たくて。

背伸びをしてミナトの胸に手を当てるわたしはどうかしちゃってるくらい積極的だ。

いきなりキスなんてしてどうしちゃったんだろう。手を繋ぐだけで、抱きしめられるだけで心臓が忙しなく動いてしまうというのにキスなんて⋯⋯。


今こうしている間もドクドクと鼓動は動いているけれど、緊張と恥ずかしさで閉じた瞼がピクピクと揺れているけれど⋯、



ミナトと交わした初めてのキスは、ほんのり甘かった。