お互いスプーンは自分のものを使って掬っているけれど、ミナトが食べたかき氷を一口貰うわけだし⋯関節キスといえないわけでは⋯ない?よね?
何はともあれ変に意識するのも恥ずかしいし、ここは普通に⋯ミナトのブルーハワイ味のかき氷を食べた。
「ブルーハワイも美味しい」
「でもこれ食べた後100%舌が青くなるんだよなぁ」
「食べ終わった後見せてよ」
「えー、やだよ。超間抜け面じゃん」
「写真撮っちゃお」
「マジでやめて?」
ミナトも関節キスとかはあまり気にしていない様だけど、実はわたしはちょっとブルーハワイを口に入れる瞬間ドキドキしちゃっていた事は秘密だ。
「そろそろ花火が始まるね」
一通り屋台を見て周った後ミナトが腕時計を確認すれば時刻は七時を回るところで。
「実はさ、穴場ってやつを知ってるんだけど、そこで見ない?」
「そんな所あるの?」
「うん、ここからすぐだから」
「わかった」
その言葉に頷いて、手を繋いで歩き出す。
周りの人達もそろそろ花火が打ち上がる時刻だと一層賑わっていく。
その人だかりを一度も迷子にならずに歩けているのはミナトと手を繋いでいるから。
慣れない下駄と浴衣でも転びそうにならないのは、今日一ずっとミナトがわたしの歩幅に歩くペースを合わせてくれているから。
その事に気付いてキュッと繋いでいる手に力を込めれば「もうすぐ着くから」とミナトも手を握り返してくれた。



