「はい、たこ焼き」
「ありがとう!」
花火大会でもたくさんの屋台がが出店されていて、花火が始まる時刻まで屋台で何か食べようかとなってまず最初に買ったのは、当然たこ焼き。
「熱いから気をつけて」
「うん!いただきまーす⋯っつ!」
「だから気をつけてって言ったじゃん、大丈夫?」
お花見以来のたこ焼きにテンションが上がってしまったわたしは、まんまるのたこ焼きを一口で食べようとして、見事に火傷した。
「ヴ~、⋯あつい⋯」
「本当に平気?」
舌がヒリヒリして痛いと顔を歪めるわたしを心配そうに見つめるミナト。
「冷たいものでも買ってこようか?」
「ううん⋯、そこまでじゃないから大丈夫だけど⋯」
特に大火傷をしたというわけでもないし、段々と痛みも和らいでいっているから大丈夫だと思う。
「それより相変わらずかっこ悪いなぁ、わたし」
「ん?」
「お花見の時もたこ焼きあちちってなってた気がする」
そう言えばミナトは一度視線を宙に浮かせた後、思い出した様に笑った。
「そういえばそうだったね」
「もう学習能力無さすぎ!」
「食い意地張ってるって事じゃない?」
「あ!そういう事言ったらグーパンだよ!?」
「お嬢様の口からグーパンってのがビックリなんだけど」
「ふんっ!」
右手で拳を作りミナトの上腕を軽く叩くわたしにミナトは怒ることなく「ごめんって」と笑っている。
「食い意地張ってる事は認めるけど、それは禁句だよ」
「わかりました、はい、もう一個どうぞ?」
ふん、怒った振りをして見せるわたしに持っていたたこ焼きの器を差し出したミナトに「ありがと」と言って2つ目のたこ焼きを口へと運ぶ。
今度はちゃんと、ふーっ、ふーっと冷ましてから食べた。



