「本当に思ってるっ⋯?」
「思ってるよ、当たり前じゃん」
「だって何かあんまりにもサラッと言うから⋯」
「え?そんな事ないけど」
恥ずかしくてミナトから目を逸らしてそんな事をブツブツ言うわたしにミナトは一回指で鼻先を擦った。
「かなり勇気出して言ったんだけどな、俺」
「⋯っそうなの、?」
「うん、言いたくないけど今結構ドキドキしてるし」
「⋯っ!」
「さくらの浴衣姿、可愛いな、綺麗だなって思ってるし俺の為に可愛くしてきてくれたのかなって浮かれてる」
「っ全部ミナトの為にしてきたよ?」
「うん、だからかなり嬉しいしドキドキしてる」
「⋯っそ、っか、」
「俺も浴衣着てくればよかったなーってちょっと後悔してるし」
そう言って自分の服に目線を落としたミナトの服は、ポロシャツにジーンズという何ともシンプルなもので。
だけどそれがミナトらしくもあって、ミナトの浴衣姿も見てみたかったけれどここにミナトが居てくれるなら何だって良い気もする。
シンプルな服装でもかっこよくて清潔感のあるミナトなら全然イケているし。
「じゃあ、そろそろ行こうか」
「うんっ⋯!」
駅から出てきた人達が会場へと向かっていく。
わたし達もその人混みの中へと手を繋ぎながら入っていった。



