目的の駅に着いて、改札を出る。
電車の中も凄い人だらけだったけど、花火大会の最寄り駅ともなれば人がごった返していて、ちゃんとミナトと合流出来るかな?と不安になった。
だけどちゃんと細かく決めておいたからきっ大丈夫だろう。
一旦巾着に入れていた手鏡を取り出して身なりを整える。
浴衣も着崩れていたないし、髪型も大丈夫。
⋯⋯よし!
手鏡をしまって、ミナトと決めた待ち合わせ場所へと向かった。
ミナトと決めた駅の右側にある駐輪スペース脇に向かうと、同じことを考える人は少なからずいたのか数人がそこで誰かを待っている様子だった。
だけど駅の中よりも大分人が減ったそこではすぐにミナトを見つける事が出来る。
「お、お待たせ⋯!」
待ち合わせ時間の10分前だというのにちゃんとそこで待ってくれているミナトの後ろから声を掛ければ、その声に反応したミナトがゆっくりとこっちを振り返る。
「さくら」
わたしをその瞳に移した瞬間、柔らかくなるミナトの表情。
夕方と夜の間で見上げるミナトはなんだか普段よりも少しだけ大人っぽくて。
普段だって十分大人っぽいミナトが更にかっこよく見える。



