待ち合わせは、2駅先の花火大会が行われる街の最寄り駅。
その駅に向かう為に乗ったガタンゴトンと揺れる電車の中は同様に花火大会を目指す人達で溢れかえっている。
グルリと車両を見渡してみればわたしと同じ様に浴衣を着ている人達や家族連れ、数人のグループと、皆花火大会を楽しみにしている事がわかる。
中には恋人らしき人たちもいて、わたしの心臓もドクドクと速さを増していく。
勇気を出して誘った花火大会。
今日をずっと楽しみにしていた。
ミナトは浴衣について何か言ってくれるだろうか。
べつに何かを期待しているってわけじゃないけど、⋯かわいい、とか、言ってくれるかな?
期待していないと言いながらもちゃっかりミナトからの可愛いを欲しがっている自分に気付いて呆れる。
けど、せっかく今日は可愛くしてきたんだし、言葉に出して伝えてくれなくてもいいから可愛いって思ってもらいたいなぁ。
電車の窓から見える外の景色は沈みかけている太陽のせいでもうすっかり夜の空気を纏い始めていた。



