「お父さんはわたしの事大切な娘だって言ってくらたよね?」
「ああ」
「ならなんで、わたしの事を信じてくれないの?」
「⋯信じる?」
「わたしはミナトが好きなの。ミナトと共に過ごす事が、何よりも幸せなの。なのにどうしてお父さんがわたしの幸せを決めるの?」
「⋯」
「凛也さんがお金持ちだから?大きな会社の跡取りだから?そんなのお父さんの物差しでしょ」
「⋯」
「わたしの幸せをお父さんの勝手な物差しで決めないでよ」
どうして分かってもらえないんだろう。
「泣くほど好きなのか?」
「え⋯?」
「泣くくらいその男を好きなのか、お前は」
そう言われて初めて頬に涙が伝っている事に気が付いた。
「ほら、拭きなさい」
「⋯っうん、」
椅子から立ち上がりわたしの目の前へとやって来たお父さんは上着のポケットからハンカチを取り出して差し出してくれる。
「娘の涙に父親は弱いんだ」
「⋯そうなの?」
「⋯だから早く拭きなさい」
いつもクールで冷静なお父さんがほんの少しだけ戸惑っている様な気がしてなんだか変な感じだ。
受け取ったハンカチを頬に当てて、涙を吸い取っていく。



