夏休みに入り着々と近づく約束の日。
今日は珍しくお父さんも早く帰ってきて、久しぶりの三人の食事だ。
「夏休みだからといって気を抜くなよ」
「うん、わかってる」
「大学受験に失敗したなんて洒落にならないからな」
「うん」
春、高校を卒業と同時に凛也さんと籍を入れる事になっている。
けれど一之瀬に嫁ぐ者として大卒までの学歴は必要らしく、わたしの進路は進学となっている。
結婚すればわたしはただ凛也さんを支える事だけが役目になるのだから、どうせ大学で学んだ事を活かす職にもつけないのに。
ただ一之瀬と華山の為に動く人形となるだけなのに。
それでも大学には行きたかったかは別にいいけど⋯。ていうか凛也さんとの結婚なんてぶち壊してやるから何の関係もない。
「勉強の話はその辺にして、食事を楽しみましょう」
お父さんとわたしの間に流れる微妙な空気を読み取ったお母さんがパンっと手を叩いて場を和ませる。
「あなたも、せっかく早く仕事が片付いたんだからたまにはリラックスしてみたらどう?」
「ああ」
「さくらも勉強は大事だけど息抜きも必要だからね」
「うん、ありがとうお母さん」
お母さんのフォローもあってその後は和やかに進んだ夕食。
やっぱり皆で揃ってする食事は美味しかった。



