「わたし、本当に好きなの」
「⋯」
「まだ出会って日は浅いけど、それより前から出会っていた凛也さんよりもずっとずっと彼が好きなの」
「⋯話は終わりだ。土曜日、空けておきなさい」
「諦めないから⋯。わたし絶対に諦めたりなんかしないから」
「おやすみ、さくら」
突き放す様に放たれたその言葉に「おやすみなさい、お父さん」と返したわたしを一瞥してからお父さんは部屋を出ていった。
「はあっ⋯、」
その瞬間吐き出した溜め息は悲しさからくるものなのか怒りからくるものなのかわからない。ただわかるのはわたし達の未来は決して楽しい道のりなんかじゃないって事。
もし、わたしとミナトが結ばれる未来があるのならば、それはただ幸せを感じているだけではやってこないという事。
きっとこの先の道は生易しいものなんかじゃない。
辛くて苦しくて、打ちひしがれてしまうのだろう。
だけどミナトの為なら、ミナトと一緒なら、なんだって出来ると。怖いものなんてないのだと、そう信じていた──────。