「どうしたの?難しい顔して」
「⋯っえ?」
「眉間に皺が凄い寄ってるよ」
そんな事を考えていればトンと友佳里に眉間を突かれ、はっとする。
「ごめん、考え事してた」
「謝ることじゃないけど⋯、たまにサクラって凄い思い詰めた表情するから心配になる」
「思い詰めた表情なんてしてる?」
「してるよ!?気付いてなかった?」
「⋯⋯うん」
友達の前でそんな湿気た顔をしている自覚はなかったけど、その理由には心当たりはある。ミナトと出会う前からずっと、親に決められた未来は嫌だったから。
「まぁ、無理には聞かないけどもし何か悩みがあるならわたしはいつだって聞くからね?」
「友佳里⋯」
「もーしーも、本当に無理になった時は頼りにしてよ。⋯って頼りないかもしれないけどさ」
ヘラりと笑った友佳里にそんなことないと首を振る。
友佳里はしっかり者で、姉御肌なところもあって。頼りないなんて思った事は一度もない。
だけど今回の事は家の事だ。
ミナトには婚約者がいるって話してしまったけれど、これは一ノ瀬さんの家の事でもある。
まだどこにも発表していないわたしたちの婚約。それはつまり両家がビジネス面で手を組むと言うことで。世間にそれが広まるわけにはいかなくて。
時期がくるまではあくまで内密。
もちろん友佳里が誰かに話すなんて事はありえないけれど、やっぱりこれは家の事だから。
友佳里を巻き込むわけにも、甘えるわけにもいかない。
友佳里に変な気を負わせるわけにもいかない。



