サクラアメ 【完】






その子たちは毎朝お母さんがお弁当を作ってくれるのだと言っていた。

わたしも、お母さんにお弁当を作ってもらいたいと思った。

きっとこの頃から、わたしは両親に対する寂しさを感じていたのだろう。



さっそくその夜、お父さんと夜遅くに帰ってきたお母さんに学校にお弁当を持って行きたい事を話した。だけどお母さんは忙しい。

すぐにそのお願いは却下されてしまった。


その代わり、「学校の昼食が合わないなら家で作ったものを持参しなさい」お母さんはそう言った。



この時お母さんは本当にわたしの口に学校の食事が合わないと思ったのか。良かれと思い、家の慣れた味付けを持って行けと言ったのか。


それとも、自分の作るお弁当を食べたいと言う娘の期待に応えられない事が申し訳なくて、せめてもの案でシェフにお弁当を作るよう指示したのか。


わたしにはわからない。



ただ一つ思うは、わたしには家庭の味がないんだってこの時初めて知った。

小さい頃からただの一度もお母さんの手作り料理を食べたことがなかったから。




わたしはそれが悲しくて、悔しくて。


娘の為なら少しくらい早起きしてお弁当作ってくれたっていいじゃんって。毎日お父さんのサポートを頑張っているお母さんを心の中で侮辱した。



お弁当を作ってくれなくてもいいよ、その代わり、せめて、食事は家族三人で取ろうよ。


週に数回でいいから、一緒に食べよう。



そう言えなかった棘が、まだ胸の奥に残っている。