その夜わたしはミナトに電話を掛けた。
わたしがまだ凛也さんと会わなければいけない事、現状では婚約を破棄するのは難しい事を話した時ミナトは「わかった」と言ってくれた。
いや、そう言うしか出来なかったんだ。
プルルルと鳴るコール音がやけに大きく聞こえて、まだ二回しかコール音は鳴っていないはずなのにとても長い時間が経っている気さえしてきた。
「ミナト⋯」
三回、四回と鳴り続ける無機質な機械音はどんどんとわたしの不安を煽っていく。
ドクドクと心臓が嫌な音を立てる。
もう、嫌になったのかも。
こんな面倒事に巻き込まれて冷めてしまったのかもしれない。
スマホを握る手に力が入って、もう切ろうと耳から話した瞬間──────、
「サクラ───?」
今日一日中求めた人の声が鼓膜を揺らした。



