美術館館は世界中の絵画を飾っていて、華山の家で育ったわたしはそういう事も教育されてきたのでとても楽しめた。
この絵は誰が描いた、とか。
どんな背景で描かれた、とか。
この風景はここだ、とか。
絵画を鑑賞している間わたし達は言葉を交わさなかったけれど、こういう場所ではべちゃくちゃお喋りをするものでもないのでそれはそれで助かったし。
一通り美術館を回り終えて退館したわたし達は運転手さんが待っている車までを歩く。
「昼食はどうする?」
「えっと、凛也さんは⋯」
こういう時、わたしに選択肢はないのだと思う。それは別に凛也さんが意地悪でわたしに聞いているとかわたしの提案を却下するという意味ではなくて。
基本一人で決めてしまう彼がこういう風に聞いてきてくれるという事はわたしの意見を受け入れてくれるという意味でもあるのだろうけど⋯やっぱりわたしは凛也さんに全てを任せてしまう。
だって、きっとどこに行っても同じだから。
どのお店に行っても、和食でもイタリアンでも中華でもフレンチでも、きっと同じだから。
ただ単に美味しいものを食べて、それだけ。
それ以上にもそれ以外にもならない。
相手がミナトだったならまた話は別なのに。
こうやって考えてしまうわたしはとてもやさぐれていると自覚している。
凛也さんにも失礼だとわかっている。
だけど本当に、どうだって良かったんだ。



