「この前お父さんに好きな人がいるって話した、ミナトの事もわたしが思ってることも話した」
「うん」
「お父さんは賛成してくれなかった。
どんなに話しても、わたしたちの事を許してくれなくて…でも、でもわたし諦めないから。絶対にお父さんとお母さんに認めてもらうから」
ミナトを見つめて言えばミナトは「うん」と頷いてくれた。
「諦めないし、ミナトと一緒にいたい。
それは変わらない。だけどまだ今は相手の方を無視する訳にはいかなくて…わたし一人が今すぐに断れる事も出来なくて…それで…、だから、それ、で……」
この先の言葉を言うのが怖い。
この先の言葉を言えばミナトに嫌われてしまうかもしれない。
怖くて、ギュッと制服のスカートを握りしめ、言葉を詰まらせた。
「それ、でね…」
「さくら」
そんな様子のわたしを見てミナトが名前を呼んだ。
「…っ」
ミナトの声だけで、何だか落ち着いた。
ギュッとスカートを握っていた手から力が抜けた。



