また、ポトリと涙が落ちた。
「話はそれだけか」
「………」
「さくら、よく考えなさい」
お父さんはそれだけ言ってリビングを出ていってしまった。
「さくら、涙を拭きなさい」
俯き涙を流すわたしにお母さんがハンカチを渡してくれるけれどわたしはそれを受け取る気力もない。
するとお母さんは立ち上がり椅子に座り俯くわたしに目線を合わせるようにしてわたしの前にしゃがんだ。
「さくら、辛いかもしれないけど受け入れて」
「……」
「お父さんも、家の事考えなきゃいけないのよ」
「……」
「だけどさくらの事も考えてる。それは本当よ、だから…」
「お母さんもお父さんと同じこと言うんでしょ?」
「さくら…」
どうせ、お父さんとお母さんは同じことを言う。
お母さんを置いてリビングを出た。
涙は止まらなかった。



