わたしは、今好きな人がいるって言ったんだ。 「好きじゃない人と結婚して幸せになれるって言うの?」 「苦労することもないだろ」 「そういう事じゃなくて…、お父さん、意味分かんないよ」 どうしてそんなことが言えるの。 「一緒になれば気持ちも変わるだろう」 「わたしは、ミナトが好き。一之瀬さんを好きになることはない」 「そんな事は分からないだろ」 「分かる!」 「さくら!」 「…っ」 普段声を荒げることのないお父さんが声を張り上げた。