「一之瀬さんとの事も出来る限りの事は、」
「お前は何もしなくていい」
わたしの声を遮りお父さんの声が静かなリビングに響く。
「この話を断ることはない。
お前が何かをしても無意味だ。社員を路頭に迷わせるのか?お前が」
「……っ」
お父さんの言葉に納得なんか出来ない。
だけど、今一之瀬さんとの事を断れば、
たくさんの人がわたしのせいで……。
俯き黙ったわたしにお父さんが続けた。
「断れば損害が出る、だが話を受ければ利益が出る。
それだけの話だ」
お父さんの言葉は、まるでわたしがただの商売の為の道具みたいだ。
「お父さんにとって、会社が大事なのはわたしも理解してる…」
だけど、今の言い方はあんまりだ。
「お父さんにとったらわたしは、ただの道具なの?」
会社のための、道具なの?
「何を言ってる」
表情変えずにお父さんは言う。



