サクラアメ 【完】

運ばれてきた料理は、どれも腕利きのシェフが作ったものでとても美味しかった。


彩りも、味も、バランスも、どれも本当に一級品で美味しかった。




そう思うのに、


そう思うのに…、



ミナトと食べたたこ焼きの方が美味しかったな。

とか

二人で笑いながら食べたハンバーガーの方が美味しかったな。


とか、思い出してしまう。





ミナトのことばかり、思い出してしまう。





「………、」


「口に合わないか?」


「いえ、美味しいです、すごく…」





手が止まったわたしを不思議に思ったのが、凛也さんがわたしに話しかけてくれる。



普段はわたしを気にせずにどんどん先を歩いて行ってしまうし、言葉は冷たいし、無視もするのに…。


意外と優しいんだなと、この時初めて思った。



凛也さんが初めてわたしを気にかけてくれたのは、きっと今が初めてだった。