月下の輪廻

「探せ。 記憶の欠片。 奴よりも早く」

「奴......?」

「良いな? テメェにしかそれは出来ねぇ。 俺の転生体のテメェにしか」

「......」


念押しするように促してきたシュヴァイツの体が灰のように燃え、脆くも崩れ去っていく。

気付けば、自分以外の者達も玉座も城も、風景そのものが燃えるように消えていった。

分からないことだらけだ。

探さなくてはならない。

記憶の欠片......シュヴァイツの魂の断片を......。

《私は一体......》

顎に触れられた手の感触が残っていることから、きっと本当に夢ではないのだろう。

吸血鬼。

そして、赤い瞳をして睨んできたアレンという男。

リーファネルの心には、アレンが憎いという感情がしっかりと刻み込まれてしまった。

そう言えば、『奴』とは誰の事だったのだろうか。

記憶の欠片を探せば分かる事だろうか。

訊く相手はもう居らず、リーファネル自身、目の前が真っ暗になって何も見えなくなっていた。