雷鳴が轟く中、キィィィー......ンと金属音がぶつかり合う音が響き、目の前には赤い瞳で睨んでくる若い男。

あちらこちらで戦闘と思しき剣を交える音が鳴り響く。

《これは、何?》

意識はリーファネル自身だが、体などは自分のものではない。

憎悪の感情だけが伝わってくる。

その時、目の前の男が口を開いた。


「いい加減にしろ!シュヴァイツ」

「うるせぇ!アレン」


《シュヴァイツ? アレン?》


「っ、そんなに王座が欲しいか!」

「当たり前だ! 俺はテメェが気に食わねぇ。吸血鬼の王に相応しいのは、この俺だっ!!」


《吸血鬼の、王......?》

思い通りにならない体の持ち主である男が叫んだ後、目の前のアレンと呼ばれた男がつば競り合いの刀を押し込んできては、蹴りを食らわせてきた。重い蹴りなのだろう。体が後方へと吹き飛ぶ。

リーファネル自身には痛みは無い。だが、シュヴァイツという男は噎せながら血を吐いてしまう。


「......正統な王位は俺が継いだ。これ以上は、お前と争っても無駄な犠牲を払うだけだ。だから、領土を二つに割る。お前はお前に従う者達と1つの領土を納める王となれば良い。互いに干渉するのはこれで終わりだ」