月下の輪廻

怪訝な眼差しを向けると、頬を真っ赤にしたディアスが咎めるような口調で言葉を紡ぎ出す。


「リーファ! 駄目だよ、女がそんな格好で下に行ったら......男が多いし、俺も目のやり場に困るんだって」

「......お前は私の体に目をやってるのか?」

「ちがーーっ!?」

「なら、余計な心配はするな。下に居るのは冒険者達だろうし、私は大体この格好でご飯を食べたりしているし、ここでは私も顔が知られている」


まだ何か言いたそうなディアスの手を肩から離し、「行くぞ」と言って1階に下りていく。追うようにしてディアスも下りてきた。

宿屋の主人に食べ物を頼み、空いている席に腰を下ろす。

目の前に腰を下ろしたディアスは視線を逸らしながらも、まだ頬が赤い。

《ルギィに告白された時以上だな》

まだ料理は運ばれてこないので、雑談でもしようと、テーブルに肘をついて手に顎を乗せて口を開く。


「ルギィは美人だっただろう。告白されて嬉しかったか?」

「......男に告白されても、俺はそっちの気は全く無いし......」

「ふーん。男と教える前は鼻の下を伸ばしていたように思うがな」

「そーーっ!?」