月下の輪廻

「......リーファって、やっぱり優しいな」

「......」


背を擦りながら笑みを向けられ、思わず脱力してしまう。

《本当に楽観的な男だな》

すっかり愛称で呼び始めてしまったのを無視して宿の扉を開く。

目の前の宿屋の主人にライセンスを見せ、自分の部屋と、ディアスの部屋の鍵を渡された。１階には、食事をして談笑している者達が居る。冒険者のようだ。

リーファネルは２階に上がって用意された部屋の中へと入って行く。隣の部屋の前で立ち止まったディアスが声を掛けてきた。


「どうした？」

「あ、食事を一緒にしようと思って」

「ああ。部屋に荷物を置いたら行こうか」

「うん」


頷くのを聞いて部屋の扉を閉めた。

ベッドの脇に剣を立て掛け、二丁拳銃を枕元に置く。上着も脱いでベッドの上に置き、廊下に出ようと部屋の扉を開けた。

廊下に立って手すりに肘をついて下を眺めていたディアスが振り向く。その青い瞳が大きく見開かれた。何かと思っていると、急に肩を掴まれてしまう。

《何だ？》