月下の輪廻

「それはすまなかったな。ルギィ」

「あ、あの、ライセンスを......」


凛とした姿はどこへやら。今はおろおろとしていて見る影も無い。頼りない子供のようだ。

《こんな男が冒険者になって......本当に大丈夫か?》

ルギィは紙をディアスに渡してサインするように促し、ペンを渡していた。こちらはすっかり気に入った様子である。意味ありげな笑みを浮かべ、上目遣いに見詰めていた。

堪えきれなくなったのか、サインを書いたディアスはすぐに大きく一歩退がった。

紙を受け取ったルギィが顎に手を当てて考え込む。


「戦闘の腕はどれくらいなのかしら? 戦わずに済む依頼しか受けないならD級で良いのだけれど......剣を持っているなら、腕次第でB以上になるわね」

「腕がどれくらいかは、どうやって示せば良いですか?」

「そうねぇ......あっ」

「?」


ふと、ルギィと目が合い、リーファネルは首を傾げてしまう。


「リーファがディアス君と勝負してみてくれるかしら?」

「......は?」


唐突な頼み事に眉根を寄せるリーファネル。