吸血鬼の血筋が絶えた後、魔物が蔓延るようになった現代。

王家や騎士、冒険者ギルドが討伐しては民の平和を護っていた。それ以外でも、祈り子達ーー修道女が各地に存在して街や村に魔物が入り込まないよう、特別な結界を張っていた。お陰で、戦えない平民達は平穏に暮らせている。

大陸の東に位置するディシリア王家。それに代々仕えている騎士の名家ーーコールランド家の長女、リーファネルは16歳を迎え、もう少しで正式な騎士として王家に仕える事が決まっている。

木刀を持ち、晴天の下、いつものように素振りをしては体を動かし汗を流す。

短めの黒髪が動く度に僅かに揺れていた。

《もう少しで、私も王家に......っ!》

上段、下段、薙ぎ払いを繰り返す。

それなりに広い敷地で木刀を振る音が耳に届く。

集中をしたいと言ったからか、今は周りに誰もいない。


「はぁっ!」