月下の輪廻

「そうだな。S級じゃなければ駄目なのか?」

「A級でも良いんだけどね。採取自体はD級だろうと大丈夫だけど......厄介な事にフリクス草の近くには強力な魔物が居るの。だから、A級かS級が居ないと採取は無理♪」


リーファネルの頬を人差し指で、つんつんとつつきながら喋るルギィ。

何が楽しいのか、たまにルギィは頬を指で突いてくる。正直、止めて欲しいのだが。

S級よりもA級の冒険者は数が多いが、他の依頼を受けて出払っているのだろうか。それとも、別の街などにあるギルドの依頼を受けているのだろうか。

《まあ、お金は必要だから良いか》

リーファネルはルギィの指をそっと押し止めて、依頼書をしっかりと持つ。


「分かった。これを受けるよ」

「さっすがリーファ。数が要るから多めに頼むわね」

「ああ」


口元に笑みを浮かべて頷き、ギルドを出ていく。

これでお金を得て弾薬を買い、ギルドの顔が利く宿に泊まってゆっくり休めそうだ。

陽はまだ高い。この分なら、採取に行っても夕暮れ時には戻って来られるだろう。

《よし、行くか》