月下の輪廻

リーファネルは不安に思っていた事を口にされ、返事に迷ったが、世の中にギルドがあるという事を思い出し、真っ直ぐに母を見詰めて言葉を紡ぐ。


「私は、今まで騎士になる為の鍛練を積んできました。お母様の言う通り、外に出た事はありませんが魔物を倒す剣は持っています。......お金の方は、ギルドで依頼をこなして受給しようかと......」

「ギルドに所属すると言うのか」

「はい。お父様」


厳しい表情の父は腕を組み、暫くの間、考え込むように押し黙って俯いた。

(記憶を探せ)

未だに頭の中に声が響く。

ゴクッと唾を飲み込むが、声が急かしてくるようで全く落ち着かない。

《待て》

逸る気持ちを落ち着かせようと息を吐く。

先程から、困惑した表情の母は、自分と父を交互に見ていた。それでも、握られた手は離さない。


「......ギルドに所属してまで探さなければならないものなのか?」

「......分かりません。ですが、自分が何なのか、記憶を探すことでその答えも探し出せると思います」

「......」