暫し訪れる奇妙な静寂。
緊張のあまり、唾を飲む音がやたらと耳に響いた。
どう言い繕おうが、戸惑いも驚きも無理からぬ事だろう。寧ろ、当然の反応と言うべきだ。
リーファネルは軽く息を吐き続きを話す。
「でも、それは断片的なもので......だから、記憶を探しに旅に出ようと思います」
旅......という言葉に、父が眉根を寄せて身を乗り出してくる。
「何を馬鹿な事を言っておる。......吸血鬼の事もだが、お前は王家に仕える事が決まっておるのだぞ」
「分かっています。......でも、吸血鬼の生まれ変わりでは、王家の騎士には相応しくありません」
敢えて強めの口調で言うと、怯んだように父は押し黙り視線を逸らした。すると、それまで黙っていた母が手を重ねてきて、覗き込むようにこちらを見ながら口を開く。
「仮に騎士として王家に仕えずに旅に出るとして、外は魔物が蔓延っていると訊くわ。リーファは外に出たことが無いじゃない。物を買うにもお金が必要になるし......一体、どうするつもりなの?」
それは叱るような、説得をしているかのような口調。
母も、考え直して欲しいのだろう。
外の世界に魔物が蔓延っているのも、自分が外に出たことが無いのも、お金が必要になるのも、全て母の言う通りだ。いつも穏やかな表情が、今は厳しい。
緊張のあまり、唾を飲む音がやたらと耳に響いた。
どう言い繕おうが、戸惑いも驚きも無理からぬ事だろう。寧ろ、当然の反応と言うべきだ。
リーファネルは軽く息を吐き続きを話す。
「でも、それは断片的なもので......だから、記憶を探しに旅に出ようと思います」
旅......という言葉に、父が眉根を寄せて身を乗り出してくる。
「何を馬鹿な事を言っておる。......吸血鬼の事もだが、お前は王家に仕える事が決まっておるのだぞ」
「分かっています。......でも、吸血鬼の生まれ変わりでは、王家の騎士には相応しくありません」
敢えて強めの口調で言うと、怯んだように父は押し黙り視線を逸らした。すると、それまで黙っていた母が手を重ねてきて、覗き込むようにこちらを見ながら口を開く。
「仮に騎士として王家に仕えずに旅に出るとして、外は魔物が蔓延っていると訊くわ。リーファは外に出たことが無いじゃない。物を買うにもお金が必要になるし......一体、どうするつもりなの?」
それは叱るような、説得をしているかのような口調。
母も、考え直して欲しいのだろう。
外の世界に魔物が蔓延っているのも、自分が外に出たことが無いのも、お金が必要になるのも、全て母の言う通りだ。いつも穏やかな表情が、今は厳しい。

