城下町へ着き、ふたりは馬車を降りた。

今回の視察は城下町を包み隠さず知るために、お忍びだった。

そのため、ふたりの服装は城下町に住んでいるようなほかの人と同じようなものであり、護衛騎士を含め、アイリーンとヴァルテリの前後に不自然にならないように配置された。

「最初に、どこにいく?」

「孤児院に行きたいです。
子どもたちが不当な扱いを受けていないか心配なので。」

アイリーンが正式に王太子妃になったときにルーメンティーから孤児院に関しての政策はアイリーンに任せると言われていた。

そこでアイリーンはヴァルテリに手伝ってもらい、児童保護法を制定していた。

この法律は故事を含むすべての子どもたちが安全に暮らし、勉強する機会を約束する法律だった。

それぞれの孤児院からは報告書が上がっているものの、本当に子どもたちが守られているのか確認するまで、アイリーンはとても心配だった。

その心配は孤児院にたどり着いた瞬間に無くなった。