数週間後、今日はヴァルテリとともに視察に行く日である。

アイリーンは遠出を望んだが、ヴァルテリに制され、今日は城下町一帯を視察する予定であった。

この日、ふたりと一緒に視察に行くのは護衛騎士10人、宮廷医2人、侍従2人という大人数であった。

「何か異変が起きたらすぐに言うこと。
ニーナ、守れるね?」

「ヴィック、そんなに心配しなくてもわかってる。」

城下町までは馬車で行き、途中からは歩いて視察することになっていた。

「揺れは大丈夫か?」

「はい。」

心配症のヴァルテリはことあるごとに隣に座っているアイリーンのことを心配していた。

一方、アイリーンはというと、視察が楽しみで鼻歌を歌っているくらいだった。