アイリーンが正式に王家の一員となってから3日後。

残っていたカルロティーとのレッスンをアイリーンはすべて終わらせた。

「これで私から教えることは以上です。

アイリーン、あなたは身重なのだから、生まれるまではあまり多くの政務をこなしてはダメよ。

全部、ヴァルテリにやらせればいいの。」

「はい。
でも、一度くらいはヴァルテリ様と視察に行ってもいいですか?

民衆の暮らしを見たいので。」

カルロティーが許可をしてくれるかはわからなかった。

しかし子どもが生まれる前の方が動きやすく、何よりも早い段階で国の内情をアイリーンは知りたがっていた。

「アイリーンのその熱心なところ、好きだわ。
きっと駄目と言っても行きたいのでしょう。

たくさんの護衛と宮廷医を1人連れていけば問題ないでしょう。」

カルロティーはアイリーンの意見をしっかりと尊重し、安全に配慮したうえでの視察を許可した。