突然のティーナ伯爵夫人とのレッスンの終了。

予想していなかったアイリーンはとてもショックだった。

今まで5歳のときから現在に至るまでレッスンをしてくれたティーな伯爵夫人との別れ。

なんだか、もう一人のお母さんのような感じで、アイリーンは少しだけさみしかった。

「できました!
これで大丈夫ですか?」

アイリーンはその後も黙々とウエディングドレスを仕上げ続け、もうすぐ日も暮れるという頃、ついに完成した。

「完璧です、アイリーン様。
これならば当日も切ることができますよ。

アイリーン様はとても物覚えが早く、私の優秀な生徒でした。

たとえ、今日で私の生徒ではなくなっても、今までの時間が無くなることはありません。

アイリーン様、自信をもって歩み続けてください。」

「ティーナ伯爵夫人、今までありがとうございました。
ティーナ伯爵夫人の教え方はとても丁寧で、すごくわかりやすかったです。

これからも何かあった際はよろしくお願いします。」

「もちろんです。

アイリーン様、これは私からのプレゼントです。

ドレスを着た際に、腰のあたりで結んでいただければ、きれいなリボンになると思います。」

そう言ってティーナ伯爵夫人がアイリーンに手渡したのはピンクの糸で編まれた細長いレースだった。

「ありがとうございます。
これ、婚姻式の時に絶対につけます。」

そしてすべてのレッスンが終わり、アイリーンはティーナ伯爵夫人とお別れをした。

アイリーンが作成したウエディングドレスはリンネたちの手によってマネキンに着せられ、式典当日までアイリーンの部屋に飾られることとなった。